ナゼにおっちゃんの行為を無にして逃げ出したのか?正直今でも自分の気持ちが分からない、多分「やっぱり予約なしでは駄目だったよ、ごめんね」と言う答えを聞くのが怖かったんだと思う、予約もしてない自分が、惨めで恥ずかしいと思ったんだ。実際どう転がってたかなんて分からないのに。
当時の僕はその答えを聞く勇気がなかった。大した事無いように思われるでしょうが…。その後十数年、あの時のおっちゃんに謝れたら良いのにと良く思う事がある。おっちゃん、済みませんでした。
再び走り出した僕は宿がありそうな所を目指しアクセルを噴かした、一刻も早くその場から離れたかったんだな。気が付くと辺りは少し暗くなり始めていた。益々僕の心には不安がよぎり、今夜泊れる所が無かったらどうしよう、でいっぱいになっていた。
松の木が沿道の両側を飾っている海沿いの道をしばらく走ると、一件の民宿が目に止まった。かなり古い木造住宅で、いかにも私は民宿ですよと言っていた。入口には歓迎○●学校御一行様、と見慣れた黒い板に白文字の看板が数枚掛っていた。
排気ガスですすけたTシャツ、道路の照り返しで真っ赤に日焼けした奇妙な顔の僕はおどおどしながら民宿の中に入ってみた。す、すみませ~ん…。
丁度夕食時だったのか、お宿の仲居さん達は慌ただしくホールを行き来していた。す、すみましえ~ん、ちょっといいですかぁ~?右手からゼンマイ仕掛け?と思われる初老のご婦人が僕に気が付いてくれた。「はい、はい、いらっしゃいましぇ」あ、あの、すみません、今日予約とかしてないんですけど泊る事とかって出来ますか?
ご婦人は確認の為、一度奥へ引っ込んだ。断られたらどうしようかな…。多分この気持ちって人によると思うんですよね、ナンパして断られても平気な人は「次行けば良いじゃん?」的な前向きな人。断られたら立ち直れない僕との違い、でも正直凹まない人が羨ましいです。今は大人になったので強くなりましたがw
お、ゼンマイ老女が戻って来た、なんと奇跡的に一部屋だけ開いていたのです!すっごい安心しました。部屋で夕食を頂きお風呂に入ったら疲れがどっと出たのか、そのまま布団で深い眠りに着きました。
左肩が痛いので次回へ続く
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